戦世からぬ伝言 - 沖縄戦デジタルアーカイブ

沖縄タイムス+プラス

第3章 - 沖縄デジタルアーカイブ

命の足跡をたどる、生きた証しを残す

 沖縄タイムス社、首都大学東京渡邉英徳研究室、GIS沖縄研究室は、沖縄戦の推移を地図と時間軸で表現した「沖縄戦デジタルアーカイブ~戦世からぬ伝言」を制作した。 沖縄タイムスに掲載された沖縄戦体験者の証言と、戦没者名簿から読谷村出身者の戦没地、沖縄戦時に撮影された写真を地図に重ね合わせた。地図は1945年当時の航空地図と1948年の地形図、そして現在の地図と航空写真から成る。沖縄戦時と現在とを比べながら、沖縄戦体験者と戦没者の足取りをたどり、貴重な証言を読みながら、沖縄戦の実相に触れることができる。

写真:沖縄本島南部で足を負傷した少年

米軍上陸 ~住民はいつ、どこで命を落としたのか~

 沖縄戦デジタルアーカイブは、「ヒロシマ・アーカイブ」(2011年7月発表)や、「東日本大震災アーカイブ」(2011年11月発表)など、渡邉研究室が制作した「多元的デジタルアーカイブズ」の技術を応用した。当時の航空地図や地形図についてはGIS沖縄研究室が制作した。

体験者の証言は、沖縄タイムスに連載中の「語れども 語れども うまんちゅの戦争体験」と、戦後70年特集「戦世からぬ伝言」からピックアップし、地図に落とし込んだ。アーカイブ制作に際し、記者が再取材し、当時の状況を細かく聞き込んだ。避難経路を地図に書き込んでもらい、苛烈な地上戦を生き延びた人々の足取りを再現した。

家族5人失い 孤児院に(宮城定吉さん)

5月20日、南風原村宮平でかやぶきの家を見つけ、入り込んだ。その夕、近くに落ちた砲弾の破片が5歳の弟の額を貫いた。避難生活で時間を持て余した時、私は弟の左眉の上を「ピューポン」と指で押さえ、弾が当たるようにまねて遊んでいた。それが現実になり、激しく落ち込んだ。母は「おまえは幸せかも」と弟に声を掛け、埋葬した。
2015年1月25日沖縄タイムス地域面

一高女へ帰校 父が制止(島袋俊子さん)

「学校にはもう行くな。命が何より大事だ」。父の言葉で私は生き延びることができた。今でも感謝している。でも、ひめゆり学徒隊として若い命を奪われた同級生たちを思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、胸がつかえる。
2015年3月8日沖縄タイムス地域面

サバニで参謀を与論へ(上原寛亮さん)

サバニ、かいなど必要な道具をそろえて名城の浜に戻ると、神参謀に「実は軍の秘密文書を届けるために、与論まで連れて行ってほしい」と言われた。今思えば、心試しされていたんだろう。
2014年11月9日沖縄タイムス地域面

沖縄戦デジタルアーカイブ デモムービー

使い方

沖縄戦体験者の足取りを再現

 沖縄戦デジタルアーカイブでは、1945年3月~6月までの沖縄戦体験者の動きを見ることができる。
 画面下の①スライダーは時間軸になっており、時間の経過とともに体験者が動く。左下の②再生・停止ボタンで操作できる。画面右下には③日付と当時の出来事が表示される。
 左上の④視点切り替えボタンで、那覇市街や首里、読谷など、体験者の移動場所をフォーカスできる。右上には⑤地図切り替えボタンがある。

個人にフォーカス

 個人の足取りをたどるには、⑥顔写真をクリック。証言ウインドウの左上の⑦カメラアイコンをクリックすると、その人の動きをフォーカスする。画面左上の⑧視点切り替えボタンをクリックし「初期視点」に戻した方が全体像を把握でき見やすい。

移動や拡大・縮小はマウスで

 マウスの左ボタンを押したまま、上下左右に動かすことで視点が移動する。
 地図を拡大・縮小する場合はマウスホイールを前後に回転させる。 傾きを変えるには、マウスの中央ホイールを押したまま上下に動かす(Windowsの場合)。

当時の航空写真や地形図も

 画面右上の地図切り替えボタンを押して、背景地図等を入れ替えることができる。リストの右側にあるスライダーを調整すると、レイヤーごとに透明〜半透明〜不透明へと変化し、背景を入れ換えることができる。

  • 1945年の航空写真
  • 1948年の地形図
  • 現在の地図
  • 現在の航空写真


 1945年1月と12月の航空写真では、地上戦が始まる前と戦後すぐの沖縄の状況を比較することができる。
 宜野湾市を捉えた写真では、1945年1月は住宅や田畑が広がっているのに対し、12月には普天間飛行場が造られている。米軍が土地を接収し、飛行場を建設した変遷を見ることができる。
 国道58号、329号などの主要道路は1945年12月には米軍によって造られていたことが分かる。

  • 1945年1月の航空写真
  • 1945年12月撮影の航空写真

戦没者

 地図上の紅白の点は、読谷村出身の戦没者2747人の戦没地を表している。赤は女性・子ども・老人で、白は男性。

出典
戦争体験者の証言は沖縄タイムス地域面の連載「語れども 語れども うまんちゅの戦争体験」と戦後70年特集「戦世からぬ伝言」から、本人の許可を得て掲載。
1948年の地形図は上原冨二男氏所蔵。同データはGIS沖縄研究室。
1945年の航空写真は、中部以北が沖縄県公文書館所蔵。同データは沖縄県教育委員会。南部は国土地理院。
参考
柏書房「大正・昭和 琉球諸島地形図集成」(地図資料編纂会編)
沖縄戦場(http://www.okinawa-senjoh.com/)