戦世からぬ伝言 - 沖縄戦デジタルアーカイブ

沖縄タイムス+プラス

第1章 プロローグ ~沖縄戦前夜~

先の大戦、

「15年戦争」とも言われる。

満州事変(1931年)、日中戦争(1937年)、第二次世界大戦(1939年)、そして、真珠湾攻撃(1941年)で勃発した太平洋戦争が終結する1945年(昭和20年)までの15年を指す。

当時の日本の作戦が、米軍基地に苦しむ現在の沖縄につながってくる。

太平洋戦争の開戦以来、日本軍は東南アジアや南太平洋の島々を攻略していたが、ミッドウェー海戦(1942年)で大敗を喫してから、ガダルカナル、サイパン、グアム、テニアンと次々に敗れていく。

日本軍は、北上してくる米軍から本土を守る最後の拠点を沖縄に定め、1944年3月に第32軍を南西諸島に創設した。それまでは沖縄に本格的な日本軍の施設はなく、第32軍は航空機による特攻作戦を展開するため、南西諸島に19もの飛行場を建設した。

有無をいわせず土地を接収し、住民を強制的に動員して造ったこれらの飛行場は、いくつかが米軍に占領され、戦後70年がたってもなお米軍基地として存続している。

沖縄に飛行場を造っていなければ、「軍官民共生共死」の道を選ばなければ、国内が戦場になる前に戦争を終わらせておけば・・・。

沖縄や日本の歴史は違ったものになっていたのかもしれない。

米軍は、本土攻撃の拠点を硫黄島・沖縄と定め、1944年10月には沖縄攻略を正式に決め(アイスバーグ作戦)、同年10月10日、沖縄本島に大規模な空襲を行なった(十・十空襲)。硫黄島の日本軍守備隊が玉砕した翌1945年3月、米軍は太平洋地区にあった全軍の戦力を沖縄攻略に向けて結集することとなった。

米軍は3月26日に慶良間列島に、そして4月1日に沖縄本島中部西海岸の読谷~北谷に上陸した。

一般住民約10万人を含む約20数万人が命を落とした沖縄戦が始まった。