2018年08月29日(水)
美ら島育むエコ企業
2018こども調査隊、企業を取材!

 県内の小中学生が環境について調べ学ぶ「沖縄こども環境調査隊2018」(主催・沖縄タイムス社、共催・一般財団法人沖縄美ら島財団)の協賛企業視察が8月に行われました。

 隊員8人は企業4社に体当たり取材し、それぞれの環境保護の取り組みを学習しました。協賛企業は沖縄海邦銀行、環境ソリューション、沖縄コカ・コーラボトリング、沖縄セルラー電話。(順不同)

【省】モニターで意識共有

沖縄海邦銀行

 沖縄海邦銀行(那覇市、上地英由頭取)は、沖縄戦で失われた緑を復活させるため、1974年から県内で植樹やその活動資金を造成する「みどりの運動」「みどりの講演会」を続けています。

 8日に同行本店ビルを訪ねた調査隊に、総合企画部経営企画担当業務役の知念達夫さんが、サンゴの植え付けや保全啓発を行う「チーム美らサンゴ」の活動内容を紹介。

 本店ビル内の電気使用量を全行員が一目で分かるようにしたモニターを各フロアに設置し、全社挙げて省エネに取り組んでいることも説明しました。DAI_2917.JPG(写図説明)ビル内の電気使用量をリアルタイムで確認できるモニターに興味津々の隊員ら=8日、那覇市の沖縄海邦銀行本店

 同日は同行のSNSキャラクター「かいホーくん」の誕生祝いも開かれ、隊員も執行役員総合企画部長の新垣学さんらと一緒にお祝いしました。

 銘苅えこさん(あげな中3年)は「電気をどの部署がどれだけ使っているかすぐに分かるモニターにびっくり。みんなのエコ意識が高まりそう」と感心していました。

 親泊愛都君(ファミリーインターナショナルスクール沖縄5年)は「お金の貸し借りだけしていると思っていたので、サンゴや森の保全まで頑張っていることに驚きました」と話しました。
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(写図説明)「かいホーくん」の誕生日を祝いました

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 【環】 “廃熱”もリサイクル

環境ソリューション

 産業廃棄物の収集・運搬や中間処理作業を行う環境ソリューション(沖縄市、南秀樹社長)は「環境に優しい社会の実現」を目指し、廃棄物と二酸化炭素の削減、循環型社会に向けたサイクルに取り組んでいます。

 18日に同社を訪ねた調査隊に対し、吉里光広工場長と宇良辰徳課長が、ごみ焼却処理のシステムについて説明。ダイオキシンなどの有害物質が再合成しないようにするための温度調整機能などを紹介しました。
PICRH20180821_000257.jpg(写図説明)汚水の処理方法などを学びました=18日、沖縄市の環境ソリューション  焼却炉や破砕、廃水処理施設だけでなく、ごみ処理中に発生する廃熱を再利用するための「トランスヒートコンテナ」も見学しました。廃熱は宜野座村のタラソテラピー(海洋療法)施設「かりゆしカンナタラソラグーナ」に運ばれ再利用されています。

 島袋優真君(美東中1年)は「動物の死骸や米軍基地内のごみまで扱っていることを初めて知りました。分別作業がされていないごみが多いことがショックでした」と話しました。

PICRH20180821_000255.jpg(写図説明)吉里工場長(右)、宇良課長(左)と記念撮影 黒田森海君(琉大付属小6年)は「廃熱の再利用などプラスアルファを考えた取り組みに感動しました。県内大手の同社のエコの取り組みが県全体に広がればいいなと思います」と期待しました。

涼 4つの工夫 ビル涼し

沖縄セルラー電話

沖縄セルラー電話(那覇市、湯淺英雄社長)は「沖縄一環境に優しいビル」と銘打ったデータセンターサービス機能を有するテナントオフィスビル(地上13階建て)を那覇市内に2020年に完成予定です。


DAI_2865.JPG(写図説明)加湿器などの影響も確かめました 7日、同社を訪れた隊員らに同社経営管理本部総務部課長で秘書・広報グループリーダーの大城武史さんが、なるべく電気を使わずに温度を下げる新テナントビルの4つの工夫「ソーラーあまはじ」「デシカント」「ダブルスキン」「クールボイド」を説明しました。
 また、同ビルの設計を担当する日建設計(東京都)の技術士、村松宏さんが、タブレットのサーモグラフィーアプリなどを使い、風や水蒸気で室内の温度を下げる方法を分かりやすく解説しました。隊員らはモニターに表示された自分の腕の表面温度差に驚いていました。
DAI_2869.JPG(写図説明)サーモグラフィーで腕の表面温度の変化を確認しました=7日、那覇市の沖縄セルラー電話本社 稲福陽羽さん(港川小6年)は「環境に優しいビルの4つの工夫は、わたしたちの日頃の生活でもヒントになりそう」と話しました。

 長濱心乃さん(本部小6年)は「水を入れたコップや加湿器など身の回りにあるものを使って、省エネのこつを楽しく学ぶことができました」と満足げでした。

沖縄コカ・コーラボトリング

【水】 CO2削減 水資源守る

 沖縄コカ・コーラボトリング(浦添市、城英俊社長)は水資源の保護に取り組んでいます。2006年から、やんばるの森で植樹・育樹を通して水資源の大切さを知る「森に学ぼうプロジェクト」を継続。

 ヤンバルクイナの保護活動を応援する自動販売機も設置し、売り上げの一部を寄付しています。

 調査隊は10日、同社を訪れ、同社製造部部長の渡邉一章さんの案内で工場内を取材しました。目の前を次々と流れていく数え切れない飲料水に隊員は目を丸くしていました。
DAI_3080.JPG(写図説明)厳重な品質管理の下で次々と生産される缶飲料に驚きました=10日、沖縄コカ・コーラボトリング社浦添工場
 渡邉さんは同工場が、天然ガスを主燃料に電気と熱を供給する「コージェネレーションシステム(CGS)」を導入し、二酸化炭素排出量の大幅な削減を実現していると説明。

 「国際規格ISOより厳しいコカ・コーラ独自の基準KORE(コカ・コーラ オペレーティング リクワイアメント)に沿って、環境負荷の軽減に取り組んでいます」と話しました。
DAI_3111.JPG(写図説明)渡邉さん(後列左)、嘉手納良人さん(手前左)と記念撮影

 竹尾謙志郎君(石田中1年)は「循環型社会を目指しユニホームにもペットボトルの素材を再利用していることに企業努力を感じました」と感心していました。

 高良克明君(小禄小6年)は「工場見学では万が一のことを考えて鉛筆の持ち込みもだめでした。品質管理がとても厳しかったです」と驚いていました。