2018年08月19日(日) ワラビー
人と自然 つながり体感
課題知り 解決策探る


 県内(けんない)の小中学生(しょうちゅうがくせい)が野外活動(やがいかつどう)を通(とお)して環境問題(かんきょうもんだい)を考(かんが)える「沖縄(おきなわ)こども環境調査隊(かんきょうちょうさたい)2018」(主催(しゅさい)・沖縄(おきなわ)タイムス社(しゃ)、共催(きょうさい)・沖縄美(おきなわちゅ)ら島財団(しまざいだん))の隊員(たいいん)8人(にん)が7月(がつ)から8月(がつ)にかけて、鹿児島県(かごしまけん)の奄美大島(あまみおおしま)と沖縄本島北部(おきなわほんとうほくぶ)を回(まわ)りました。


  昨年(さくねん)に続(つづ)き、奄美(あまみ)の環境調査隊員(かんきょうちょうさたいいん)6人(にん)と合同(ごうどう)で活動(かつどう)し、今(いま)ある自然(しぜん)を守(まも)るために何(なに)をすればよいか、互(たが)いに意見(いけん)を交(か)わしながら考(かんが)えました。

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 隊員(たいいん)らは7月(がつ)24日から4日間(よっかかん)、奄美大島(あまみおおしま)を視察(しさつ)。

 奄美(あまみ)で最(もっと)も標高(ひょうこう)の高(たか)い湯湾岳(ゆわんだけ)では、オットンガエルやアマミハナサキガエルなど、奄美(あまみ)の固有種(こゆうしゅ)と出合(であ)いました。




 奄美野生生物保護(あまみやせいせいぶつほご)センターでは、よそから持(も)ち込(こ)まれた「外来種(がいらいしゅ)」のマングースが、奄美(あまみ)に元々(もともと)いる動植物(どうしょくぶつ)に迷惑(めいわく)を掛(か)けていると知(し)りますが、捕(と)らえられたマングースは殺処分(さつしょぶん)されてしまうと聞(き)き、悲(かな)しい表情(ひょうじょう)を浮(う)かべました。
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 また、人(ひと)と猫(ねこ)と野生動物(やせいどうぶつ)がすみやすい奄美大島(あまみおおしま)を目指(めざ)し活動(かつどう)する動物愛護団体(どうぶつあいごだんたい)「奄美猫部(あまみねこぶ)」の久野優子(きゅうのゆうこ)さんからは、人間(にんげん)が森(もり)に捨(す)てたネコが野生化(やせいか)してノネコになり、アマミノクロウサギやケナガネズミを襲(おそ)っていると聞(き)きました。IMG_6950.JPG




 捕(と)らえられたノネコは殺処分(さつしょぶん)されます。琉球大学付属小(りゅうきゅうだいがくふぞくしょう)6年(ねん)の黒田森海君(くろだもりうみくん)(11)は「人間(にんげん)が捨(す)てたのに殺処分(さつしょぶん)するのはおかしい。ノネコもクロウサギも同(おな)じ命(いのち)だ。他(ほか)の解決策(かいけつさく)を考(かんが)えるべきだ」と考(かんが)えました。



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隊員(たいいん)たちは、沖縄本島(おきなわほんとう)でいなくなったとされる野生(やせい)のリュウキュウアユを役勝川(やくがちがわ)で探(さが)したり、カヌーに乗(の)ってマングローブ林(りん)を観察(かんさつ)したりしました。







 奄美(あまみ)から戻(もど)った隊員(たいいん)たちは、8月(がつ)1日から3日間(みっかかん)、沖縄本島北部(おきなわほんとうほくぶ)の「やんばる」地域(ちいき)を訪(おとず)れました。

 国頭村(くにがみそん)の与那覇岳登山道(よなはだけとざんどう)を、昼(ひる)と夜(よる)の2回歩(かいある)き、活動(かつどう)する時間帯(じかんたい)の違(ちが)う生(い)き物(もの)を観察(かんさつ)。

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 野鳥(やちょう)のホントウアカヒゲやリュウキュウアオヘビなど、沖縄(おきなわ)の固有種(こゆうしゅ)だけでなく、奄美(あまみ)でも目(め)にしたツルランも発見(はっけん)しました。島袋優真(しまぶくゆうま)さん(13)=美東中(びとうちゅう)1年(ねん)=は「奄美(あまみ)と沖縄(おきなわ)には共通(きょうつう)した自然(しぜん)があるところが面白(おもしろ)い」と話(はな)しました。
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 名護市瀬嵩(なごしせだけ)の浜(はま)では、海(うみ)の環境汚染(かんきょうおせん)についても考(かんが)えました。浜(はま)のある大浦湾一帯(おおうらわんいったい)は「生命(せいめい)のホットスポット」と呼(よ)ばれ、生物多様性(せいぶつたようせい)が豊(ゆた)かだといわれています。



DSC_0226.JPGところが、浜(はま)にはペットボトルやビニール袋(ぶくろ)などたくさんのごみが落(お)ちていました。浜辺(はまべ)の砂(すな)を集(あつ)めた隊員(たいいん)たちは、その中(なか)にマイクロプラスチックと呼(よ)ばれる、細(こま)かいプラスチックの粒子(りゅうし)を見(み)つけます。



DSC_0256.JPG  環境教育(かんきょうきょういく)に携(たずさ)わる鹿谷麻夕(しかたにまゆ)さんから「このままでは、2050年(ねん)には海(うみ)の魚(さかな)よりプラスチックが多(おお)くなってしまう」という話(はなし)を聞(き)いた隊員(たいいん)たちは、「再利用(さいりよう)できるものを使(つか)う」「気付(きづ)いたらいつでもごみを拾(ひろ)う」など、自分(じぶん)たちにできることを話(はな)し合(あ)いました。



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 ほかにも、国頭村奥(くにがみそんおく)で昔(むかし)の人(ひと)がイノシシと共存(きょうぞん)するために山中(さんちゅう)に築(きず)いた岩垣(いわがき)「イノシシ垣(がき)」について学(まな)びました。

DSC_0445.JPG同村安田(どうそんあだ)の学習施設(がくしゅうしせつ)ではヤンバルクイナを観察(かんさつ)したほか、特別(とくべつ)な許可(きょか)を得(え)て環境省(かんきょうしょう)ヤンバルクイナ飼育(しいく)・繁殖施設(はんしょくしせつ)も見学(けんがく)しました。

奄美とやんばる両方の自然学ぶ

 7月下旬(げじゅん)から8月はじめにかけて、鹿児島(かごしま)県の奄美大島(あまみおおしま)と沖縄(おきなわ)本島北部「やんばる」を視察(しさつ)した沖縄こども環境調査隊(かんきょうちょうさたい)。奄美こども環境調査隊のメンバーとともに、両地域(ちいき)の自然環境や生き物の特徴(とくちょう)や、共通する課題などを学び合いました。活動の様子を写真と感想で紹介(しょうかい)します。

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(写図説明)鹿児島県・奄美大島/交通事故などでけがをした野生動物が運ばれてくる動物病院。野鳥の羽や足の標本を興味津々で観察する隊員たち=7月26日、奄美大島・ゆいの島どうぶつ病院

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(写図説明)鹿児島県・奄美大島/夜の森で奄美の固有種・アマミハナサキガエル(右下)と出合った。驚かさないようにそっとシャッターを切る隊員たち=7月24日、奄美大島・湯湾岳


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(写図説明)鹿児島県・奄美大島/昼間の奄美の森を散策。「ちょっと臭い」らしいヘクソカズラのにおいをかいでみる=7月25日、奄美大島・湯湾岳

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(写図説明)鹿児島県・奄美大島/外来種のアメリカハマグルマを根から引き抜く隊員たち。強い繁殖力で他の植物が育ちづらくなっていると学んだ=7月25日、奄美大島・大浜海浜公園

解決策みんなで考えたい

親泊愛都(おやどまりまなと)君 ファミリーインターナショナルスクール沖縄5年

DSC_0745.JPG テレビなどで見たり、遠くから見ると気付かないけれど、現場(げんば)に行くと自然環境(かんきょう)がごみなどでかなりダメージを受けていることがわかり、ショックでした。

 次に、人間も動植物も幸せになる解決策(かいけつさく)を自分たちだけではなく、全国のみんなと考えると出てきそうな気がしました。

 また、外来種問題について、人間がペットを飼(か)う場合、最後まで責任(せきにん)をもって面倒(めんどう)を見ることがいかに重要かということを伝えたいです。

 これからは、環境の将来(しょうらい)をしっかり考えて、それから行動に移(うつ)すことをみんなと一緒(いっしょ)に実践(じっせん)したいです。

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生き物の違い野外で実感

稲福陽羽(いなふくあきは)さん 港川小6年

DSC_0726.JPG 奄美(あまみ)大島とやんばるの視察(しさつ)で、まだ自分の知らない自然のことを知ることができました。

 また、昼と夜での森の生き物の違(ちが)いや、雨の日や晴れの日に出てくる生き物の違いも知ることができました。奄美の固有種や、自分が住んでいる沖縄(おきなわ)の固有種でも、知らない生き物もいました。

 フィールドワークでは、たくさんの生き物を見ることができてよかったです。奄美大島と沖縄の生物の違いを知ることができました。この研修(けんしゅう)で、私(わたし)は自分にできることを考えて行動することが大切だと思いました。

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行動する人を増やしたい

長濱心乃(ながはまみの)さん 本部小6年

DSC_0778.JPG 奄美(あまみ)とやんばるの視察(しさつ)で、環境(かんきょう)問題だけでなく、ほかの大切なものや人についても学びました。

 問題を解決(かいけつ)しようと思ったら、計画的にそのことについて学び、考え、計画をたてて行動するのが一番大切なんだと感じました。

 学んだ環境問題は、ネコが山に捨(す)てられ希少動物を食べてしまうことや、海にごみが捨てられ、それを魚が食べてしまうことなど、とても難(むずか)しいものばかりでしたが、一つ一つ解決していきたいと思いました。知ってもらい、考えてもらい、行動する人が少しでも増(ふ)えてほしいです。

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 外来種問題の背景を理解

髙良克明(たからかつあき)君 小禄小6年

DSC_0750.JPG アマミノクロウサギやヤンバルクイナなどの固有種の特徴(とくちょう)や、外来種問題への取り組みなどをくわしく知ることができました。

 このような体験の中で、ぼくが一番印象に残ったことは、アマミノクロウサギについてです。ぼくは今まで、アマミノクロウサギは一方的に人間から被害(ひがい)を受けていると思っていたけど、アマミノクロウサギも農作物を荒(あ)らしていることを初めて知りました。

 この調査(ちょうさ)を機に、環境(かんきょう)に関わるボランティアなどがあったら、少しでも環境をよくするために積極的に参加していきたいです

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新発見がたくさんあった

黒田森海(くろだもりうみ)君 琉球大学付属小6年

DSC_0739.JPG 新しく知ったこと、発見したことがたくさんありました。一つ目は、自分はある程度(ていど)環境(かんきょう)のことを知っていると思っていましたが、参加した後は自分が知っていることはほんの一部だと感じました。

 二つ目はユニークな考えに出合えたことです。奄美(あまみ)大島では、1人目の講師(こうし)は在来種(ざいらいしゅ)であるアマミノクロウサギが一番という考えでした。しかし2人目は外来種であるノネコの視点(してん)で話してくれました。三つ目は友達とのきずなです。友達と話し合うことでたくさんの意見が出ました。また参加したいです。

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(写図説明)やんばる/瀬嵩の浜で見つかった貝の数に驚く隊員たち=2日、名護市・貝と言葉のミュージアム

気候の違いや固有種学ぶ

島袋優真(しまぶくゆうま)さん 美東中1年

DSC_0732.JPG まず最初に気付いたことは、奄美(あまみ)大島とやんばるの気候の特殊(とくしゅ)さについてです。同緯度(いど)の地点では乾燥(かんそう)帯が多いのに、奄美ややんばるの気候は亜熱帯(あねったい)です。

 その理由は、ヒマラヤ山脈から吹(ふ)く季節風と黒潮(くろしお)の影響(えいきょう)で湿気(しっけ)がこもり、亜熱帯の気候になるからだと知りました。

 ほかにも、固有種の多さについても学びました。ノグチゲラやイボイモリなどの固有種についても学びました。今回の視察(しさつ)では、知っていることと知らないことをいろいろ学べてよかったです。

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安易な考え環境問題招く

竹尾謙志郎(たけおけんしろう)さん 石田中1年

DSC_0751.JPG 特に印象に残ったことは、環境(かんきょう)問題には必ず人が関わっているということです。ロードキル、外来種、海ごみ、ノネコ問題、すべてに共通していたのが人です。生態系(せいたいけい)を崩(くず)しているのが人です。

 外来種問題では、マングースはハブを退治(たいじ)するために送られてきたのに、活動する時間帯がまったく違(ちが)ったため、固有種を食べてしまうという事態(じたい)になってしまいました。その時だけの考えが環境問題を悪化させてしまうこともあります。対策(たいさく)をするときでも、必要性(ひつようせい)をしっかり考えることが大切だと思いました。

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自然体感し意識変わった

銘苅(めかる)えこさん あげな中3年

DSC_0737.JPG 環境調査(かんきょうちょうさ)隊に参加するまで、自然についてほとんど何も知らない状態(じょうたい)でした。マングースはハブを食べると思っていたし、自然の中でみんな平和に暮(く)らしていて問題なんかまったくないとも思っていました。

 でも、外来種やロードキルなどさまざまな問題点を知ることができました。学習を通して思った、自然を守る一番の方法は、たくさんの人に自然の素晴(すば)らしさ、問題点を知ってもらうことです。「知る」といっても知識(ちしき)だけでなく、ちゃんと体で感じてほしいです。理由は、私(わたし)自身それで意識(いしき)が変わったからです。

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来月1日 成果発表シンポ

場所:タイムスホール 入場無料

 沖縄(おきなわ)こども環境調査(かんきょうちょうさ)隊の隊員たちが今回の視察(しさつ)で学んだことを発表するシンポジウムが9月1日、那覇市久茂地(なはしくもじ)のタイムスホールで開かれます。午後2時から4時まで。入場無料です。

 基調講演(きちょうこうえん)は、ワラビー「沖縄おもしろ博物学」でおなじみのゲッチョ先生こと盛口満(もりぐちみつる)さん(沖縄大学教授(きょうじゅ))が登壇(とうだん)します。その後、沖縄の隊員と奄美(あまみ)の隊員(代表2人)が視察の成果を発表します。

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