沖縄と奄美大島の環境問題を考える「沖縄こども環境調査隊2013」(主催・沖縄タイムス社、共催・一般財団法人沖縄美ら島財団)の協賛企業視察が8月に行われた。8人の隊員たちは、緑や海を守る活動や廃棄物処理、再利用の現状など、環境保全に力を注ぐ4企業で、環境に対する各企業の姿勢を学んだ。協賛は、沖縄海邦銀行、南西石油、環境ソリューション、沖縄コカ・コーラボトリング、智光、我那覇畜産。(順不同) | ||
命守る森に 継続が力
南西石油
30種以上の若木が施設を取り囲む南西石油株式会社(西原町、リンコン・シオジロ・イシカワ社長)は台風や地震、火災などから命を守る「本物の森づくり」に取り組んでいる。調査隊は24日に同社を視察。石油精製、製品供給の仕組みや環境を守る活動などについて理解を深めた。
同社は2008年に「南西グリーンベルトプロジェクト」を立ち上げ、翌年から計4回の植樹祭を開催。沖縄在来の樹木計約2万9000本植樹した。また、命の大切さを伝えるため、地域のボランティアと共に種拾いからの「苗づくり」にも取り組んでおり、隊員たちもフクギの苗づくりに挑戦。協力して約100個のポットに種を植えた。
同社広報担当者は「小さなことでもみんなで継続すれば大きな成果になる。環境のため、できることをこつこつ続けていきたい」と社の方針を説明した。
安波小6年の親富祖和香那さんは「生ごみを肥料にしたり、ごみを徹底的に分別する姿勢に驚いた」。港川小6年の上原玄武君は「E3ガソリンが環境に優しいということを初めて知った。大勢の人に使ってほしい」と期待した。
フクギの種を植え、苗づくりに汗を流す隊員=西原町、南西石油株式会社
ガソリンや重油など、同社の製品に興味津々な隊員
「みどりの運動」39年
沖縄海邦銀行
沖縄の緑化推進を目的に、1974年から「みどりの運動」に取り組む沖縄海邦銀行(上地英由頭取)。調査隊員は7日、那覇市にある本店を訪ね、「沖縄を緑の島に! 緑と花で心にやすらぎを」をテーマに掲げる活動内容を学んだ。
同行では、島尻朝男総合企画部地域・環境貢献室業務役が隊員に活動内容を説明。沖縄戦で失われた沖縄の緑を復活させるため、「みどりの運動」をスタートさせた経緯を紹介した。
同行は、「みどりの講演会」を毎月1回開き、計462回(7月末現在)開催、約5万4000本の苗木を無料で配布している。また、収益の一部などを沖縄県緑化推進委員会への寄付しているほか、「チーム美らサンゴ」の一員として、海の環境保全にも取り組んでいる。
上地頭取は「今後も『環境銀行』として、沖縄の海と森を残すため頑張っていく。調査隊で学んだことを学校でも伝えてほしい」と隊員にエールを送った。
藤原のぶさん(天底小6年)「39年間も活動を続けていることに驚いた」、高山真之介君(沖縄カトリック中3年)は「環境を守る活動に積極的に参加したくなった」と話した。
島尻総合企画部地域・環境貢献室業務役(右)から説明を受けた=那覇市・沖縄海邦銀行本店
「学んだことを生かしたい」と決意を新たにした隊員
廃熱再利用 CO2削減
環境ソリューション
産業廃棄物の収集・運搬、処理を行っている環境ソリューション(沖縄市、仲西昇社長)は、環境に優しい社会の実現のため、廃棄物の削減、リサイクル活動、省エネルギーにも力を注いでいる。10日に視察した隊員たちは、1日平均約60トンの廃棄物が運ばれてくるという「現実」を目の当たりにし、「ごみを減らす努力をしたい」と意気込んだ。
同社は焼却炉から発生する廃熱をコンテナに蓄える技術を確立。「熱の宅配便」として、廃熱を利用する施設まで運ぶ。受け取った施設は、冷暖房や給湯の熱源などとして廃熱を利用することが可能となり、二酸化炭素の排出削減や燃料の使用減に一役買っている。
また、関連会社と連携し、木や紙くず廃プラスチックなどの廃棄物を加工し、固形燃料としてリサイクルしている。隊員に施設や廃棄物の処理方法を説明した仲西社長は「環境のためにも、できるだけ廃棄物も再利用していく」と話した。
読谷中3年の比嘉咲さんは「廃棄物の多さにショックを受けた」、古堅中3年の真栄田あかりさんは「できるだけ循環させるという考えが印象に残った。ごみを出さないようにしたい」とそれぞれ話した。
焼却灰の多さに目を丸くする隊員たち=沖縄市・環境ソリューション
廃棄物の再利用などについて仲西社長(右)から説明を受けた
水源保護 地域と連携
沖縄コカ・コーラボトリング
本島北部の水源を守ろうと、沖縄コカ・コーラボトリング(浦添市、〓橋俊夫社長)はツバキやシークヮーサーなどの植樹や、定期的に水やり、せん定作業を行う「育樹」に取り組んでいる。10日には、大宜味村の大保ダムで「コカ・コーラ『森に学ぼう』in大宜味村」を開催。調査隊員も「育樹」作業に汗を流した。
「森に学ぼうプロジェクト」は、2006年から実施。国頭村や大宜味村で、同社職員や地域住民らも多数参加している。同社総務人事部CSR推進課の比嘉秀泉課長は「コカ・コーラの商品はヤンバルの大切な水を使わせてもらっているからこそ、会社の責任として、ヤンバルの水をしっかり守っていく」と説明した。
また、売り上げの一部がヤンバルクイナの保護活動に寄付される自動販売機も紹介。比嘉課長は「ヤンバルクイナは沖縄にしかいない。率先して保護活動に協力したい」と意気込んだ。
金城さくらさん(大宜味中1年)は「木を植えるだけでなく、しっかり育てる活動が印象に残った」と話し、外間円佳さん(与那原小6年)は「暑かったけど、木を育てる大変さが実感できた」と汗をぬぐった。
※(注=〓は「高」の異体字)
シークヮーサーの枯れた枝をせん定する隊員たち=大宜味村・大保ダム
比嘉課長(左)の説明に聞き入る隊員