県内の子どもたちが環境について考える「沖縄こども環境調査隊2014」(主催・沖縄タイムス社、共催・一般財団法人沖縄美ら島財団)の協賛企業視察が8月に行われた。隊員8人は、各企業が海と陸で行っている環境を守る活動を学び、主体的に環境保全に取り組んでいく決意を強くした。協賛企業は沖縄海邦銀行、環境ソリューション、我那覇畜産、沖縄コカ・コーラボトリング。(順不同)

隊員

 上原拓也(小禄中3年)▽金城凪沙(西崎中3年)▽幸地佑(東風平中3年)
 ▽小村美亜(琉球大学付属中3年)▽仲宗根由紀(読谷中3年)
 ▽外間ちひろ(与那原中3年)▽竹尾慎太郎(石田中1年)▽名嘉栞里(泊小5年)

[緑化]

「みどりの運動」39年
沖縄海邦銀行

 沖縄戦で失われた緑を復活させるため、1974年から県内各地で「みどりの運動」を展開する沖縄海邦銀行(上地英由頭取)。調査隊員は8月12日、那覇市にある本店で、40年間の緑化活動について学んだ。
 同行は「沖縄を緑の島に!緑と花で心にやすらぎを」のキャッチフレーズを掲げ、苗木の無料配布や植樹などを行っているほか、利益の一部と職員から寄せられた募金で、これまでに9600万円を沖縄県緑化推進委員会へ寄付している。
 また、2005年には活動を海にも広げ、「チーム美らサンゴ」のサンゴ保全活動も支援。総合企画部経営企画担当調査役の比嘉隆也さんは「失われた自然を完璧に再生することは難しいが、陸・海の環境を守るため、継続して取り組んで行きたい」と意気込んだ。
 本年度の調査隊は「サンゴ」をテーマにしていることもあり、隊員は興味津々。「大きく育ってほしい」という思いを込め、サンゴの苗づくりに使用するプレートにメッセージやイラストを書き込んだ。
 上地頭取も「学んだことを周囲の人たちに伝えてほしい」と激励した。
 幸地佑君は「基金を作って環境保全に取り組んでいることに驚いた」と話し、上原拓也君は「環境のために銀行全体で活動していることが印象的」と話した。

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比嘉さんの説明に興味津々の様子で聞き入る隊員たち=那覇市、沖縄海邦銀行本店

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環境保全に向け決意する隊員たち

[再生]

リサイクル 全社一丸
環境ソリューション

 産業廃棄物の収集や運搬、処理などを行っている環境ソリューション(沖縄市、仲西昇社長)は、「環境に優しい社会の実現」を目指し、廃棄物と二酸化炭素(CO2)の削減、リサイクルなどに社を挙げて取り組んでいる。23日に同社を視察した隊員たちは、製造工場や病院など各事業所から出た廃棄物が処理されていく過程を学んだ。
 同社は、24時間稼働する焼却炉から生じた「廃熱」をリサイクルする技術を確立している。これまでは大気中に「廃棄」されていた熱をコンテナに蓄え、再利用する施設に運ぶ。
 施設側は、冷暖房や給湯などの熱源として活用できるため、灯油などの燃料使用量と、燃料を燃やす際に発生するCO2の削減につなげることができる。
 仲西社長は「節水や省エネ、廃棄物の減量、リサイクルに力を注ぎ、環境保全につなげている」と社の姿勢を説明した。
 竹尾慎太郎君は「ダイオキシンを排出しないよう、廃棄物も厳しく処理するなど、未来まで環境を守るための取り組みを学べた」、金城凪沙さんは「廃熱も再利用するなど環境を守る取り組みが印象に残った」とそれぞれ話した。
 廃棄物の多さが印象的だったという名嘉栞里さんは「少しでもごみを減らすよう、できることから努力したい」と意気込んだ。

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焼却炉の投入口など施設を見学=沖縄市、環境ソリューション

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仲西社長から廃棄物の処理方法について説明を受けた

[育樹]

命を育む水と森 守る
沖縄コカ・コーラボトリング

 本島北部の森と水源を守るために活動をしている沖縄コカ・コーラボトリング(浦添市、高橋俊夫社長)。調査隊員は14日、大宜味村の大保ダムで、シークヮーサーの木をせん定し、「育樹」の作業を体験した。
 同社は2006年から、「森に学ぼうプロジェクト」と銘打ち、国頭村や大宜味村などでシークヮーサー、ツバキを植え、育てる活動を行っている。作業は毎回、同社職員や地域住民らも多数参加し、地域と一体となって取り組んでいる。
 また、ヤンバルクイナの保護・増殖活動を展開する「NPO法人どうぶつたちの病院沖縄」を支援するため、売り上げの一部を同院に寄付する自動販売機も県内各地に設置している。
 同社総務人事部CSR推進課課長の嘉手苅修さんは「雨が森を通ることで栄養の含まれた水が海に流れる。水をたくわえる森は、地球の生き物を潤している」と森を守る意義を説明した。
 仲宗根由紀さんは「森と海はつながっていて、ひとつのバランスが崩れると全部がだめになるということが勉強になった」と目を輝かせた。
 小村美亜さんは「水を汚すと全てに影響が出ることを実感した」。外間ちひろさんは「せん定作業にも木を太く、強くするという意味があることを学べた」と話した。

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シークヮーサーの木のせん定に挑戦する隊員たち=大宜味村・大保ダム

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環境保全活動について説明を受ける隊員たち