貴重な自然を守るため、何ができるのだろう-。「沖縄こども環境調査隊2014」の石垣島視察が4~7日の間ありました。「サンゴ」をテーマとした活動で、海や川、マングローブなどでサンゴを取り巻く環境について考えました。9人の隊員は何を感じたでしょう。活動の様子を写真でふりかえり、体験記を紹介します。
約1時間歩いてたどり着いた荒川上流の滝でガッツポーズ=6日
サンゴが人の命守る
上原拓也君(小禄中3年)
石垣で「ピー」と呼ばれる前方礁原(しょうげん)は高い波を抑えることができる。さらに、サンゴがあることで、魚や海藻などの海の恵みが食べられるし、防波堤となってくれることで「自分たちの命が守られている」と感じた。海をきれいに保つため、今まで以上にサンゴに関心を持ち、守る活動が必要だと思う。一度なくなると元に戻すのが難しいサンゴを今後も大事にしていき、学んだことを伝えたい。
自然との共生が大切
金城凪沙さん(西崎中3年)
石垣島視察では、ガイドさんから「山と海の間に集落があると、生活排水や畑からの赤土によって海が濁ってしまう」と教えてもらった。自然を破壊するのが人間であれば、保全し、豊かな生態系を保っていけるように対策するのも人間の役割。快適な生活を求めて自然を破壊していくのではなく、人間と自然が支え合いながら、サンゴ礁の動物たちのように共生できればすばらしいと思う。
わくわくサンゴ石垣島センターで養殖されているサンゴに興味津々の隊員=6日
生活排水と赤土防ぐ
幸地佑君(東風平中3年)
生活排水が流れ込み、海が汚れているのだと知り、ショックを受けた。生活排水は海中の植物プランクトンを増やし、サンゴの天敵オニヒトデの成長を早め、大量発生している原因の一つともいわれ、サンゴ礁に悪影響をもたらしている。島をあげて生活排水や赤土の流出を防ぐなど、少しずつ取り組んでいけば、海は今よりももっと透明度が高くなり、きっとサンゴは守られる、と信じたい。
サンゴの養殖に興味
小村美亜さん(琉大付属中3年)
サンゴの養殖に興味を持った。生態はよく分かっていない部分もあるが、照明や塩分濃度などを自然に近づけ、未来の海をつくっていくサンゴを育てることに夢があると思った。シュノーケリングでは、餌付けされた魚が寄ってきたが、人がエサを入れてしまっては自然のバランスが崩れてしまう。餌付けをしてはいけないということをたくさんの人に知ってもらう必要があると思う。
WWFサンゴ礁保護研究センターで海水にどれだけの赤土が混じっているか分析する隊員=4日
自然への関心を持つ
仲宗根由紀さん
私たちの軽率な行いで自然は崩(読谷中3年)れている。石垣島視察では、自然の実態を自分の目で確かめ、肌で感じることができた。ガイドさんは「30年前はサンゴが邪魔なほどあった」と言っていた。人間は自然を守ることもできるが、短期間で破壊することも可能で、人間次第で決まってしまう。「便利な生活」で自然を害していることを念頭に置き、自分の周りの自然から関心を持つことが大切だと思った。
海と山の環境は一体
外間ちひろさん(与那原中3年)
石垣には、本島より多い363種類のサンゴがいて、海に入るとすぐにサンゴがあった。環境の違いでこんなに変わるのか、と驚いた。赤土流出防止のため、月桃を植えると聞いたときは「ほかの植物では代用できないのか」と疑問に思った。植えると、根っこがしっかりしていることに気付き、赤土にからんで流出を防止するのではと思うと納得できた。海と山はつながっていることを実感した。
WWFサンゴ礁保護研究センターで鈴木智子さんの説明に聞き入る隊員=4日
自然への影響忘れず
竹尾慎太郎君(石田中1年)
サンゴは多種多様な生物と共存(きょうぞん)していることが分かった。サンゴガニはサンゴをすみかにし、オニヒトデがサンゴを食べようとすると、しつこく攻撃する。このカニはサンゴを敵から守ることができても、サンゴが死んだら同じように死んでしまう。人間もほかの生き物と関わり合って生きている。自分たちの一つ一つの行動がすべて自然に影響していることを忘れないでほしい。
石垣の海誇りに思う
田渕鈴夏さん(真喜良小6年)
米原ビーチでシュノーケリングをしていると、ガイドさんから「2007年に海水温上昇でサンゴが大被害を受けた」と言っていた。地球温暖化は、さかのぼると全部人間のせいなので、絶対に人間がこの危機を食い止めないといけないと思った。サンゴの養殖体験では、大きく育つための条件が厳しいことを知った。こんなにサンゴがある石垣島の海を誇りに思うようになった。
きれいな海守りたい
名嘉栞里さん(泊小5年)
石垣島で、海の砂や水にどのくらいの赤土が含まれているのか調べてみると、濁っていなくても赤土がたくさん含まれていることが分かった。サンゴと共生し成長を助けている褐虫藻は、赤土で光合成ができなくなり、サンゴが栄養不足になる。赤土流出を防ぐため、畑の周りに月桃を植えるなど、影響を減らすため工夫していた。学んだことを多くの人に伝え、きれいな海、サンゴ礁を守りたい。
サンゴの養殖について真剣な表情で説明に聞き入る隊員=6日、わくわくサンゴ石垣島センター
吹通川(ふきとうがわ)下流のマングローブで生き物を探す隊員=5日
沖縄こども環境調査隊2014視察場所
調査日程
8月4日(1日目)
WWFサンゴ礁保護研究センターで上村真仁センター長から石垣島のサンゴ礁の現状について説明を受ける。
近くの海岸に移動し、海水と砂を採取(サンプリング)。センターに戻り、海水と砂にどのくらいの赤土が含まれているか分析。赤土流出を防ぐため、サトウキビ畑で月桃の植樹にも挑戦。
8月5日(2日目)
米原ビーチでシュノーケリングをし、サンゴや共生する生き物を観察。吹通川では、上流の滝と河口のマングローブを調査。
8月6日(3日目)
わくわくサンゴ石垣島センターで小林鉄郎さんからサンゴの養殖について説明を受ける。
荒川に移動し、約1時間かけて滝まで上り、山と海の環境がつながっていることを学ぶ。
8月7日(最終日)
環境省の石垣自然保護官事務所で春口洋貴さんから「西表石垣国立公園」の中の「石西礁湖のサンゴを取り巻く問題などの説明を受ける。
隊員9人が4日間の視察を通して学んだこと、感じたことなどを発表。